「危険速度」とは?
ボールねじのねじ軸のような丸棒形状のものには、曲がりによるたわみ、自重によるたわみが必ずあります。このような丸棒形状を持ったねじ軸の両端をベアリングで支持して回転させ、回転速度を上げていくとたわみが大きくなって、ついには回転軸が破損することがあります。
回転軸を破損させるような危険な状態になる回転速度のことを「危険速度(critical speeds)」といいます。あるいは「振れ回り速度(whirling speeds)」とか「ぱたつき速度(whipping speeds)」などとも呼んでいます。危険速度は、ボールねじのねじ軸を設計する際に、充分注意する必要があります。
計算によって求めるか、許容回転速度線図(カタログ参照)から求めることができます。これらから、細くて長いボールねじほど、低回転でも危険な状態になり、危険速度が低いことがわかります。また、回転系の不釣り合いも異常な振動を発生させる要因となります。ねじ軸とその支持部との間で偏心がないように、そして、曲げ力が加わらないように考慮してください。
ボールねじの場合には、一般の伝導軸と違ってナットがストロークするので、移動軸受の役割をしますし、また、常に同方向に回転するのではなくストロークエンドで回転を停止し逆転させる使用方法です。そのため、ボールねじの振動振幅は、同じ条件の一般の伝導軸の振動振幅よりも小さいとされています。
<参考>ねじ軸の設計には、危険速度のほかDmN値の確認も必要となります。
ボールねじを危険速度以上の回転速度で使用すると、発生する振動によって、機械装置の精度に不具合が出てきます。ボールねじは、危険速度の80%以下の回転数で使用することを推奨します。
なお、ボールねじの取付け方法(固定-支持など)を検討することによって、危険速度を上げることができます。また、ボールねじを取付ける際の軸受の組み合わせを変えることで、より高い回転速度まで伸ばすこともできます。
およその目安として、ボールねじの回転速度の設定が2,000min-1程度を超える場合には、KURODAまでご相談ください。