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ボールねじの推力について教えてください①

そもそも「推力」とはなんでしょう?答えは「ある方向に向けて力を加えると反対方向に釣り合った力が発生する」です。
例をあげると、大型旅客機はジェットエンジンで後方にジェット(噴流)を生み出し、旅客機本体を前に押し出して推力を得ることで飛行しています。

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ボールねじは回転運動を直線運動に変える機械要素ですから、ねじ軸を回転させることでナットが前方(あるいは後方)に押し出されます。その結果、ナットに推力が発生しナットハウジングに据え付けられたテーブル(荷台)が移動することで仕事をさせるわけです。
推力を生み出す機械要素は他にもたくさんあります。例えば自動車用の小型ジャッキに使用されるすべりねじやエアシリンダがあります。

では、なぜそれらにボールねじが使われていないのでしょうか?
ヒントは「ボールねじの機械効率が優れている」や「精密な制御が可能」なためです。

小型ジャッキにボールねじを使用した場合、機械効率が高いためジャッキハンドルから手を離した瞬間にジャッキはするすると下降を始めてしまいます。しかし、小型ジャッキに使用されるすべりねじは機械効率が低いという点を利用しているため、ハンドルから手を離してもジャッキは勝手に下降を始めません。

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また、エアシリンダは注射器のような形状で、中に空気など流体を押し込むことでピストンを押し出して推力としています。メリットはボールねじに比べて安価であること、仕様検討が簡単という点が挙げられます。 しかしエアシリンダで複雑な搬送や位置決めは難しいため、単純に同じストロークを往復運動させるといった使い方が大半を占めています。 ボールねじの「推力」は、「同じ力でよりスムーズに動かしたい!」&「精密な位置決めや様々なストロークで使いたい!」といった使い方に向いているため、半導体製造装置、産業用ロボット、工作機械の搬送・位置決めに利用されています。

このように同じ「推力を発生させる」という機械要素でも、必要とされる機能・コスト・特徴との兼ね合いで様々なものが使われていますので色々な装置の中身を調べてみるのも面白いかもしれません。

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