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ボールねじの寿命とは①

『機械』を設計するとき、その寿命を予測することはボールねじに限らず、あらゆる機械要素にとって重要な検討項目です。
寿命とは『生まれてから死ぬまでの時間』を指しますが、工業製品の場合は『問題なく使用できる期間(あるいは距離、回数)』として用いられます。

 ボールねじの寿命とは一体なんでしょう?


答えは『任意の荷重が働いた状態で稼動できる総回転数』です。

もし、自動車のカタログ寿命がエンジンの総回転数で表されていたら非常にわかり難いと思います。ボールねじも同様です。そのため、通常は寿命計算によって得られたボールねじの総回転数を稼働時間、稼働年数や走行距離で現し、サーボガンやプレス機械ではショット回数やプレス回数などに換算して仕様検討します。

 では、寿命に到ったボールねじはどうなるのでしょうか?
ねじ軸が折れたり、軸とナットが分解したり、循環しているボールが脱落・・・そんなことはありません。
寿命を迎えたボールねじのねじ溝には小さな円形(0.2mm程度)のくぼみ=ピッチング(pitting)が10%の信頼度で発生します。これを90%定格寿命(L-10Life)といいます。


仮に10本同じボールねじがあった場合、1本にピッチングが発生します。もちろん、残りの9本にも次第にピッチングが生じてきますが、ピッチングがあったからといってボールねじが動かなくなるわけでなく、一般的な搬送などの用途では問題なく使えてしまいます。

 ボールねじのねじ溝に生じたピッチングは、やがてクラック(crack)→フレーキング(flaking)へとねじ溝の剥離状態が進行していきます。これは自動車が通過する道路の破損の進み方と似ています。道路が傷んでくると、轍(わだち)の中に小さな裂け目ができ、そこからうろこ状に道路表面の剥離が進行していきます。これはダンプカーの多い道路によく見られますが、自動車の重量がタイヤを介して道路の破損部(弱い部分)に繰り返し働き、剥離部分が徐々に広がっていくためです。

ボールねじも道路もピッチングや裂け目があったからといって使用不可!ではありませんが、『問題なく使用できるか?』といわれれば微妙なところですよね。
ボールねじの場合は精密な位置決めが期待できませんし、道路の場合はカーレースや滑走路として使用できません。
ですのでボールねじの寿命は『問題なく使用できる期間』として90%定格寿命を定義しています。

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