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黒田精工株式会社
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写真:超精密表面形状測定装置『ナノメトロ330F』

1996年7月16日。当時開発センター部長の井口信明は、ひとつの区切りとなったこの日、ようやく肩の荷が下りた気がして、軽く息をついた。同日からサンフランシスコで始まった半導体製造装置の展示会「セミコンコンウエスト」の技術者会議で、世界トップクラスを相手に最新の表面形状測定装置「ナノメトロ330F」を発表できたことは、開発の指揮をとる井口にとって大きな意味を持っていた。87年にポリシングマシンを開発、非球面の「磨き」に自信をつけた黒田精工だったが、「磨き」を追求し続ける技術スタッフの前に、ひとつの問題が立ちはだかった。「熟練者による精度と同様のものが出来ているとの確信はあるものの、それが数値的にどれだけのものか見当がつかなかった」と林 孝(当時開発センター開発課副課長)は言う。つまり、「どれだけ磨けているか」「どれだけ平らか」を測定する機械の必要性に迫られていたのである。
当時は6インチウェーハから8インチウェーハへと移行しつつあった時期。ウェーハに回路を焼き付ける際、表面の平面度が大きく影響するため、その精度は限界まで求められていた。「シリコンウェーハの平面度は0.2から0.3ミクロン。これらを測定するには0.1ミクロン以下、すなわちサブミクロン、さらに小さいナノメーター(0.001ミクロン)の世界を測れる機械でないとだめでした」と井口は言う。すぐに、「職人集団」と自ら称する開発センターのスタッフの知識と技術が結集された。
カンカンガクガクの議論を戦わせた結果、精密機械の部品として以前から関心を寄せていたセラミック製エアスライドと、移動時の振動が少ないリニアモータとのコンビネーションによるシステムが最適との結論に達した。
これらをもとにソフトウェアを開発。非接触レーザー走査により被測定物表面の面粗さやうねり、傷などの欠陥を測定してモニターに三次元画像のデータを表示する第1号機が91年に完成した。
以後、半導体の大容量化に合わせた製品造りを進め、“次世代ウェーハ”である12インチ(300mm)対応の「ナノメトロ330F」にたどり着いた。12インチになると、ウェーハの自重で表面に反りが発生するなどが原因となって、正確な測定は無理とされていた。そんな「常識」を覆す世界初の快挙だった。
現在では、300mmウェーハ専用平坦度検査装置「ナノメトロ300TT」を開発し市場投入している。これは、ウェーハを鉛直保持し両面から同時に測定する方式を採用、自動搬送装置をも組み込んでいる。高精度なハードウェアと高機能のソフトウェアを基盤技術とし、測定能率を高めたシステム商品として成熟し、デファクトスタンダードになりつつある。

こちらの記事は、1996年2月から同年8月にわたり日本工業新聞に連載されたものに加筆したのです。

黒田精工 開発秘話 Vol.5 世界初の機械に"挑戦

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